MEN'S

2025/03/13

CONVERSATION:YOKE × ANCELLM × BARNEYS NEW YORK #1

人気ブランドがクロスオーバーするコラボレーション。スペシャルな別注が完成!(前編)

人気ファッションブランド<ヨーク>と<アンセルム>がコラボレートしたカプセルコレクションが2025年3月15日(土)より発売!バーニーズ ニューヨーク(以下:バーニーズ)では別注4アイテムを含む、全7アイテムのフルラインナップが登場いたします。

バイヤーの髙橋直樹が両ブランドをつないで、<ヨーク>のボディに<アンセルム>の加工を乗せたり、<アンセルム>のTシャツに<ヨーク>の刺繍モチーフをほどこすなど、これまで見たことのない別注アイテムは、両ブランドのファンはもちろん、バーニーズのファンにも刺さること間違いなしです。

刺激的なクロスオーバーアイテムの誕生に、両ブランドのデザイナーとバイヤーの髙橋が、その思いを語り合います。

ミレニアル世代は、どんなファッション体験を経てきている?

髙橋直樹(以下、髙橋)自分と山近さんは同じ歳で、それで展示会で意気投合したのを覚えていますが、寺田さんは僕たちより少し上ですね。

寺田典夫(以下、寺田)そうですね、2つ上かな。山近さんも僕も同じ服飾専門学校を出ていますが、学校ではちょうどすれ違いなんですよ。

山近和也(以下、山近)そうです、大先輩です。

髙橋 山近さんは、自分と同じミレニアル世代のデザイナーが出てきて活躍されてるなという印象があって、寺田さんはそんな世代を束ねる兄貴的な存在で。

寺田 いや、全然違いますよ(笑)。

高橋 お二人が一番影響を受けたブランドやデザイナーはどなたですか。

寺田 専門学校のときは、当時<ディオール オム>のエディ・スリマンには影響を受けましたね。

山近 自分は、90年代の「Antwerp Six(アントワープの6人)」やベルリン系のブランド、それと古着ですね。

髙橋 自分も大学生の時にエディ・スリマンが全盛期で、ジャケットにタイトなTシャツ、スキニージーンズを履いて、革靴という似たようなスタイリングをしていました(笑)バーニーズに入ってからはクラシックからデザイナーズまで販売を経験したこともあり、自分の好きなテイストにとらわれず様々なブランドを着用しました。今ではそれが買付にもいかせている部分は大きいかと思います。

ブランドファン、バーニーズのお客様に対して何か特別なものを提供したい

髙橋 寺田さんが手がける<ヨーク>は2021年春夏シーズンからバーニーズでの取扱いがスタートして、2024年春夏シーズンで黒を基調としたバーニーズ限定のカプセルコレクションを展開し、とても好評で秋冬シーズンも継続しました。それで、寺田さんに「次の2025年春夏シーズンではもっと変化があった方が面白いですね」とお話していて、展示会で会話する中で、寺田さんと山近さんの接点が見えたので、バイヤーとしてトライしたいなと。

寺田 初めて聞いたときは、面白い提案だなと思いました。

髙橋 <アンセルム>も2024年春夏シーズンからお付き合いがありますが、それぞれインライン(通常)のコレクションももちろん素敵なんですが、何か差別化された要素をバーニーズのお客様へご紹介したいっていう思いがあって、<ヨーク>のコレクションに、<アンセルム>の強みである経年変化の魅力を掛け合わせて、化学変化を起こせたら...と思いました。

山近 「コーディネートが成り立つようなコレクションを作りたい」とおっしゃっていましたね。

髙橋 それぞれに熱いファンがいるので、何か特別なものを提供することは、すごくプライオリティもあるし、素敵な提案になるなと。双方が得意とする生産背景や生地と、双方のデザイン、パターンメーキングをクロスオーバーさせて、化学変化を起こして面白いものを作り上げて、それをコーディネートで着ていただくという、そういうところまで楽しんでいただければと思いました。

髙橋直樹 バーニーズ ニューヨーク メンズバイヤー

寺田 山近さんとは2年ぐらいのお付き合いになりますが、最初に<アンセルム>を知ったときは、めちゃくちゃ勢いのあるブランドが来たぞと思い、インスタグラムのポストが印象的で、ここまで加工を追求したブランドってなかったし、昔の加工感とはまた全然違うアプローチだったのがすごく新鮮でした。共通の知り合いのお誘いで、山近さんと話ができて、自分たちの共通点やこれまでの生きざま、下積みとかがなんか似ているなと。

山近 寺田さんとは物づくりのベースの部分がすごく近いのを感じています。下積みのところがにじみ出てくるのかな(笑)。<ヨーク>の服をよく見ていると、絶妙なテクニックが分かって、作るのがうまいなぁと思っています。

寺田 自分たちは、エリートじゃなくて、学生時代に賞を取ったこともなく、ずっと地道な活動をしてきて、いろんな下積みを経験した上で表現している服だから、どこか共感できるところがあるんでしょうね。

山近 下積みが長かったですからね(笑)。

寺田典夫 <YOKE(ヨーク)>デザイナー

デザイナーに聞く「別注の価値や意味」

髙橋 今日こうしてお話できる機会をいただけたので聞きたいのですが、取引先のショップから「インラインも素敵ですが、別注をお願いします」とオーダーされたときは、どう受け取っていらっしゃいますか。ストレートにお伺いしますが。

寺田 別注では、面白いことができたらいいなと思います。インラインではできないけど、それを飛び越えてくるような別注は、ブランドとしてもプラスになるし、お店にとっても新しいお客様に届けられるだろうと思いますし。別注ではやはり企画が大事で、"何のためにこれをやるんだろう"を考えますが、<アンセルム>とのコラボレーションは、最初にイメージしたときに、これは良いものができて、面白いことになるとパッと思いました。

山近 そうですね。寺田さんがおっしゃる通り、別注は、作り手として"面白いか面白くないか"ですね。自分は、単純に色を変えるとかの別注はあまりやらなくて、髙橋さんの提案は、もう絶対に面白いなと。楽しみだなと思いました。

山近和也 <ANCELLM(アンセルム)>デザイナー

髙橋 今回の<ヨーク>×<アンセルム>コラボレーションは、寺田さんにも山近さんにもすごく前向きに捉えていただいて、翌日ぐらいには「やりましょう」と決まったので、すごくうれしかったです。双方の魅力を一つのプロダクトに落とし込めて、それぞれのアイテムに閉じ込められたらすごくいいなと。特に<アンセルム>には、デニムブランドには出せないデニム加工、<アンセルム>らしさを多くの人に見てほしいと思いました。

髙橋 山近さんは作り方も独特なんですよね。

山近 デザイン画は描きますが、職人の横にいて加工の位置の指示をしたり、商品を俯瞰で見ながら、一品番ずつ作っていく感じですね。

髙橋 ヴィンテージを忠実に再現するわけじゃないから、感覚的なところが研ぎ澄まされていないと、なかなか完成に近づけないんじゃないですか。

山近 そうですね。加工のときに、穴の一つひとつも全部バランスを取ってきています。汚しの色も毎回色を調合して、色出しをしていて、このデニムの汚しの"黒"は、"YOKE BLACK"と呼んでいます(笑)。

髙橋 そんなに細かく決めているんですね。

寺田 想像をマジで超えていますね。絶対良いものが出来るだろうって期待していましたが、ヴィンテージというより、アート寄りですね。感覚も大事ですが、多分これをできる人はほとんどいないし、そういう縫製や加工の環境に自分の身を置いているからこそ誰も真似できない。こういう落とし込み方ができることに感動するし、サンプルが届いて見たときに、「これは凄い!」と思いました。

髙橋 自分も感動しました。思った通りを超えて、思った以上というのは、寺田さんと同じ意見です。なんていうか、商業的なものじゃなくて、山近さんの「かっこいいもの作りたい!」という思いがダイレクトに伝わってきて、バイヤー目線では、いわゆるヴィンテージとは違う境界線をきちっと引いているのがわかります。

山近 ありがとうございます。自分はヴィンテージは好きですが、あえてそっちには近寄らないように意識して作っています。今回のコラボレーションは、作業していく上での発見もいろいろあって面白かったです。

髙橋 ブランドの相性の良さも感じました。

寺田 そうですね。多分感覚が全然違う人だと、カタチにするまで時間がかかると思いますが、山近さんとは本当にスムーズでした。

山近 打ち合わせした後も、思ったように作ることができました。

髙橋 物づくりの相互理解があって初めてできた"共同作業"だと思います。

※オンラインストアでのデニムジャケット、デニムパンツ、Tシャツの発売は3月下旬を予定しております。詳しくはバーニーズ ニューヨーク オンラインストア カスタマーセンター(0120-48-0190)までお問合せください。

PROFILE

<YOKE(ヨーク)>デザイナー

寺田典夫

1983年、千葉県生まれ。美術大学を中退して、文化服装学院デザイン専攻科に進学。卒業後はドメスティックブランドで生産や企画を経験し、2016年に独立。フリーのデザイナーとして活動するかたわら、2018年秋冬シーズンにヨークをスタート。「TOKYO FASHION AWARD 2022」を受賞。

PROFILE

<ANCELLM(アンセルム)>デザイナー

山近和也

様々なブランドで経験と研鑽を積み、コロナ禍に突入する前、東京から出身地である岡山県にUターンして、2021年春夏シーズンに<アンセルム>をスタート。「視点を変えた経年変化の提案」をテーマに、"経年変化する"という視点から選んだ素材や加工を用いた、熟練の職人の手によるプロダクトを展開。着込んで馴染むことによって生まれる美しい服の表情を、新たな価値観として提案。

PROFILE

バーニーズ ニューヨーク メンズバイヤー

髙橋直樹

メンズ、ウィメンズのカジュアル/デザイナーズのアシスタントを経験。バイヤーに昇進して以来、メンズのカジュアルとデザイナーズを担当。現在はアート/ホビーなどのポップアップやコラボレート商品の企画等、新たな分野にも奔走中。