MEN'S
2019/08/29
FALL 2019 CALLING ALL BUSINESSMEN
侍のように髪を束ねた70代の男は言った。
「スーツを着ると、嬉しくなる」
英国紳士のような60代の男は言った。
「着ることは、決意表明のようなもの」
丸メガネを掛けた50代の男は言った。
「そのスーツで、どこに行くのか、誰と会うのか」
眼光の鋭い40代の男は言った。
「身体の自由が制約されることで、気持ちが引き締まる」
髭を蓄えた年齢不詳の男は、
何も言わず、その言葉のひとつひとつにうなずいた。
トレンドがどうしたとか、ディテールがどうしたとか。
そんな話は、どうでもいいだろう。
スーツを着て、自分自身を生きてみないか。
スーツの過去を紐解けば、釣りや乗馬などに用いられるスポーツウェアでもありました。そう考えると、スーツが日常的であっても不思議なことではありません。毎日は着ない私にとっても、やはり袖を通すたびに、スーツを着るのもいいな、と嬉しくなります。
加賀清一
私にとってのスーツは、決意表明と存在証明のようなものですね。今の時代と自分の気分をすり合わせた結果が、今日の装い。だったら楽しんじゃえ、と。スーツを着て際立たせるべきはこれ見よがしのディテールではなく、自分自身ではないでしょうか。
大住憲生
おしゃれを楽しんでスーツを着る人もいるでしょうが、私にとっては、ここぞというときのスイッチを入れるためのもの。商談を控えていたり、大切なお客様と会ったり。人や社会と接するときの自己表現でもあると思います。
本村雅之
仕事をしてこそ男。仕事を通じて自分のなりたい姿に近づいていく、スタイルを確立していくのが男だと思っています。仕事着としてスーツを着た時に、多少の制約が自分を律し、気持ちを引き締めてくれるようにも感じています。
市村勝
スーツそのものが何かを雄弁に語るのではなく、そこに着る人の個性や哲学が滲み出る。多くの男性のスーツ姿を見てきて、その面白さを感じています。年齢がいくつになっても、自分自身を表現できるスーツは男たちの最良のパートナーになるでしょう。
新井慶太

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