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2013/09/12

INTERVIEW: LESLIE KEE #1

INTERVIEW: LESLIE KEE #1

バーニーズ ニューヨークのアート&カルチャー活動の一環として、新宿店・横浜店・神戸店の3店舗でこの秋開催予定の写真展『SUPER BARNEYS PHOTO EXHIBITION』。バーニーズ ニューヨークならではのファッションと芸術の融合をお楽しみいただける今回の写真展は、世界中から集結した最新のファッションに身を包んだ豪華モデル陣を世界的フォトグラファー、レスリー・キー氏が撮影するという世にも贅沢なコラボレーションが最大の魅力。写真展のコンセプトや見どころ、撮影秘話をフォトグラファー、レスリー・キー氏が語ります。

INTERVIEW: LESLIE KEE #2はこちらからご覧いただけます ▶▶▶

 

―今回の写真展に対する意気込みを教えてください。
ここ数年、海外と東京を行き来しながら撮影をしてきた中で、フォトグラファーとして自分が世の中にメッセージを伝えたいと思ったテーマが「DIVERSITY(多様性)」です。そして私が常に興味を持っている要素は「FASHION」「PEOPLE」「ARTIST」の3つ。そのすべてが今回の写真展に集約されています。写真展ではクリエイター、アーティスト、シンガー、セレブリティ、スポーツマン、文化人、そしてたくさんのファッションブランドが登場し、結果的に「DIVERSITY」を表現することができました。「FASHION」「PEOPLE」「ARTIST」というキーワードをひとつの作品に融合させることは、私の夢でした。『SUPER BARNEYS PHOTO EXHIBITION』は、すばらしい歴史をもつバーニーズ ニューヨークの未来へのセレブレーションでもありながら、自分の中ではフォトグラファーになって15周年のセレブレーション、そして「DIVERSITY」というメッセージを発信し、作品を作り続ける旅のセレブレーションにもなりました。

―写真展のテーマである「LIFE IS A STAGE.」という言葉から、どんなインスピレーションを得ましたか?
「LIFE」という言葉は、シンプルだけどとても深い。長いような短いような「命」。私が「命」というものを経験したのは13歳の頃に、母が39歳で亡くなった時でした。突然入院してから亡くなるまでの3週間、どんどん痩せて、髪も減り、肌の色も変わっていく母の姿を私は目の前で見ていました。それは今まで見たことのないような、信じがたい光景でした。死に直面した母という一人の女性の存在、身体、人生というものを目の当たりにして以来、自分にとって「LIFE」という言葉が永遠の課題となりました。「LIFE」とは何か?誰もがすごく知りたいですよね?それがひとつの理由で、その後21歳から2年間、シンガポールから出発してタイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ネパール、インドとアジアを訪れる旅をしました。そこで気づいたのは、命はささやかだけど、とても美しい、命はつながっているということ。その旅がきっかけでいつか写真を撮りたいと思ったんです。フォトグラファーになって15年。まだ旅の途中、成長の途中ですが、「LIFE」を表現するという私のライフワークのひとつを私の大好きな国、日本でバーニーズ ニューヨークとのコラボレーションで実現できてとてもうれしいです。

LESLIE

―現場での撮影はどのように進められましたか?
今回は1人のモデルにつき必ず2枚の写真を撮っています。みんな必ず2つの役がある。ひとつは素の自分。もうひとつはモデル、女優、アーティストといった輝かしいステージにいる自分。2枚の写真を撮ることで自分の世界観を表現してもらいます。例えばCHIHARUさんの場合は、1枚はシンプルな服を着て、メイクはナチュラル、髪を少し濡らして、ちょっと毒がある少女のイメージ。もう1枚は凝った服を着て、モードなメイクをしたスーパーモデルのイメージ。国生さゆりさんなら、休日にくつろいでいる女性のイメージと、女優として舞台に立っている女性のイメージ。スタジオに洋服をたくさん用意して、スタイリストの提案もありながら、本人が好きなものをピックアップして、ヘア、メイクもみんなで相談して撮影しました。みんなで一緒に考えて、一緒に作って、残したいと思ったんです。背景もあえてシンプルにしました。いちばんメッセージを強く伝えられると思ったからです。それにより衣装がより強調されたので、バーニーズ ニューヨークのファッションが今回のステージを形作ったとも言えます。その上でそれぞれが自分のステージの中で喜怒哀楽を表現し、人生の2つのポートレートを作っていく。その結果、タイムレスなポートレートが完成したと思っています。

―被写体の人選はどのようにして決めたのでしょうか?
今が旬の人に声をかけました。20代では三浦春馬さんと黒木メイサさんが私の中ではダントツ。黒木メイサさんは16歳の頃から撮っていますが、海外でも通用するルックス、芯の強さが魅力。歌って踊れてファッション写真も絵になる、彼女に代わるような女優さんはほかにいません。三浦春馬さんは役者として評価が高いだけでなく、身長もあり、モードな写真もこなせる俳優さん。30代の代表は壇蜜さんと窪塚洋介さんです。壇蜜さんは私にとって今年の旬の人。窪塚洋介さんは、レゲエのDJとしても活躍しているし、ストリートファッションのアイコンとしてもすごく評価されています。バーニーズ ニューヨークのメンズファッションというと、一般的にスーツのイメージが強いのではないかと思いますが、実際はモードなファッションもたくさんあって、そういうお客さんもたくさんいる。今回はバーニーズ ニューヨークのストリートの側面も強調したかったので、彼も入れるべきだと思いました。そして、今世界で一番有名な日本人スーパーモデルCHIHARUさんと19歳の歌舞伎俳優、中村隼人さんはニュージェネレーションの代表。中村隼人さんはこれから先が楽しみな、未来を感じる人。この3世代がハイライトです。さらに石田純一さんや国生さゆりさんといった大人の俳優さん女優さんが入り、乙武洋匡さんをはじめとする文化人、ニコライ・バーグマン夫妻など海外のアーティスト、K-POPの代表で超新星も登場します。10代から50代までのモデル22組、31人の顔ぶれは豪華なだけでなく、まさに私の表現したい「DIVERSITY」を感じていただけると思います。

LESLIE

―写真展に訪れる方に注目してもらいたいポイントは?
写真と一緒に、「LIFE IS A STAGE.」というテーマについての各モデルのメッセージも見て、それぞれの生き方と喜怒哀楽を感じてもらいたいです。人の生き方を見ると、自分の人生にもヒントがもらえることがある。私はそういう風に生きてきました。私はずっとユーミン(松任谷由実)が好きで、ユーミンの音楽、歌詞、生き方からヒントをもらってクリエイターとして頑張れた。みんなにもそれぞれに憧れの人、憧れのブランド、憧れのデザイナーがあると思います。また、この写真展はファッションにはパワーがある、ということを伝えられる内容になっていると思います。よく考えてみても、アーティストとファッションがこのような形でコラボレーションした写真展はあまりありません。特に、たくさんのブランドが集まるバーニーズ ニューヨークだからこその見応えがあります。もうひとつ、私は学生時代から、いつか6×6判の正方形サイズでポートレートを撮りたいと思ってきたのですが、それはいつか自分が「満足のいく写真が撮れた」と思えてからと、今まで発表するタイミングを考えていました。そして今回の写真展でそれに初めて取り組むことにしました。正方形サイズは、まさに私にとってポートレートのサイズ。このアイディアを実現するまで15年間かかりました。そこもポイントです。

―バーニーズ ニューヨークのお客様へメッセージをお願いします。
30代以上のお客様が多いと思いますが、写真展を通じて10代、20代のお客様にも来てもらいたいと思っています。日本にきて23年の歴史があり、海外のブランドをいち早く日本に紹介したパイオニアでもあるバーニーズ ニューヨークというお店を、私は今回の企画をきっかけにさらに輝かせたいと思い、撮影に挑みました。実際にどの部分を輝かせることができたかを見にきて欲しいと思います。期間中は、ウィンドウディスプレイも含めて、お店が『SUPER BARNEYS』一色になるのもぜひ注目してください。

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LESLIE