JEWELRY: MALCOLM BETTS バーニーズ ニューヨークが見出した気鋭のデザイナー | Designer Interview | WOMEN'S | BARNEYS NEW YORK

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JEWELRY: MALCOLM BETTS

バーニーズ ニューヨークが見出した気鋭のデザイナー

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バーニーズ ニューヨークで取扱うようになってから、すでに20年以上。ロンドン出身のジュエリーデザイナー マルコム・ベッツ氏は昔も今もほとんどスケッチを描くことなく、ただひたすらに石やメタルの声に耳を傾け、地金をハンマーで叩きながら、「あるべき形」を導き出しています。今回のインタビューでは、そんなアーティストの心を持つ彼のクリエイティビティの源泉に迫ります。

ー今日は素敵なジャケットをお召しですね。 ありがとうございます。イタリア ナポリの職人が手仕事で仕立てた一着です。なかなか高価ではありますが、同じものは一つとして存在しない。私の作るジュエリーと共通するものがあるように思えて、気に入っています。そうした手仕事による匠の技を他のどの国よりも尊重してくれるのが、日本だと思います。モダンな感性を理解しつつ、伝統と職人技にも敬意を抱いてくれる。世界中を見渡しても、そのような国は他にはありません。

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ーそうおっしゃっていただけると嬉しいですね。日本で、あなたのジュエリーを紹介することになったきっかけについて教えていただけますか? 今からもう20年以上も前のこと、当時、米国バーニーズ ニューヨーク ウィメンズ部門のヘッドだったジュディ・コリンソンさんと、現在日本でウィメンズファッションディレクターを務める鈴木春さんにお会いしたのです。まずはニューヨークの店でトランクショーを開催する機会をいただき、その後東京でもトランクショーをやらせてもらいました。新宿店で好評を得たことが、そこから今日に至る長いお付き合いのきっかけになったのです。

当時私は、ロンドンのロイヤル カレッジ オブ アートを卒業した後、教師としてジュエリーの歴史を教えていました。自分でも会社を立ち上げた頃で、ロンドンにスタジオを構えていたんです。バーニーズ ニューヨークとの出会いから、その後ロンドンの他にニューヨークと東京での取扱いが始まり、嬉しいことに忙しくなってしまいましてね。学生に教える時間がなくなってしまったので、教職は辞めてジュエリー作りに専念することにしたというわけです。

ーバーニーズ ニューヨークとの出会いについて、もう少し詳しく聞かせていただけますか? ロンドンの「ジョセフ」というショップが私のジュエリーを気に入ってくれて、ポップアップストアのような形で置いてくれたんです。その時にちょうどジュディさんと春さんが見に来てくれたのが、出会いのきっかけでした。それからの展開は先ほどお話ししたとおりですが、バーニーズ ニューヨークこそが、私のコレクションを常時扱う初めての店になったのです。

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ーバーニーズ ニューヨークについては、どのようなイメージをお持ちでしたか? 当時まだニューヨークにも東京にも行ったことはありませんでしたが、ニューヨーク発祥の素晴らしいスペシャリティストアであることや、他の店とは違う独自の審美眼を持ち、とびきりお洒落なお客様から支持されていることは知っていました。時代の最先端を行く、まさにカッティングエッジなセンスを持っていて、他とは異なるコンセプトやセレクションを提案している、憧れの店でした。有名ブランドだけでなく、私のような小規模なクリエイターにも目を向けてくれる姿勢も、ユニークさと魅力の理由の一つだと思っています。

今になって理解が深まりましたが、特に日本のお客様は非常に優れた審美眼をお持ちで、個性的なブランドのラインナップと、きめ細かなサービスに対する欲求のレベルが高いですね。百貨店や他のセレクトショップとは違う、何か特別なオファーができる店がバーニーズ ニューヨークであり、デザインとクラフツマンシップの両方を理解し、明確な好みを持って何か新しいものを探すことを楽しむというのがバーニーズ ニューヨークのお客様の特徴だと感じています。

ー日本のお客様に評価され続けているのは、なぜだとお考えになりますか? 日本では特に、同じものが二つとして存在しない個性的なものであることが重要視されるように思います。私の作品はアンティークの石を使ったり、プラチナとゴールドを組み合わせ、手作業で仕上げたりと、どれもが一点物であることが、評価に繋がったのではないでしょうか。私はデザインのインスピレーションを、旅先で見つけることが多くあり、日本や日本のお客様を思い描いてデザインした作品も数多くあります。日本のお客様が何を望んでいるのかを想像し、ゆっくりと丁寧に時間をかけながら、新しいデザインを生み出し続けていきたいと思っています。

バーニーズ ニューヨークでは、イベントの際にエンゲージメントリングやマリッジリングなどのオーダーも手がけています。お客様のご要望を伺いながら作る、素敵な物語を持つ一点物ですね。お求めになられたお客様は、ご結婚後、お子さんを連れてイベントへ会いに来てくださいます。お客様と私のジュエリーが紡いだ物語が、また次の世代へとつながっていくというのは、何よりも嬉しいことですね。

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ーあなたの作品を象徴するハンマリングの技術は、どのように習得されたのでしょうか? 大学時代にその表情豊かな魅力に取りつかれました。学生時代、作品用に高価な貴金属を自分で買うというのは到底無理な話でしたが、さまざまな企業がスポンサーとして支援してくれ、鋼・ステンレススチール・ゴールド・プラチナなどの地金の提供を得られたことは、本当にありがたかったですね。その頃の経験がきっかけとなり、今日に至るまで思う存分、腕を磨き続けています。

ハンマリングは、とても原始的な手作業によるテクニックです。今日では多くのジュエリーが工場で大量生産されていますが、色の異なるカラーメタルを合わせることは、未だに機械ではできません。一つひとつ丁寧に手で叩いて、ようやく形になるものなのです。だからこそ私の作るジュエリーは、他の人が作る1種類のメタルのみでできているものとは見た目の美しさから、かかる手間までまったく違うのです。

ージュエリーデザインの魅力は、どんなところにあるのでしょうか? 建築家や家具デザイナーは、一つの作品が構想から実際の形になるまで少なくとも1ヶ月以上、建築だと数年以上かかることもあります。でもジュエリーは、うまくいけばその日のうちにおおまかな形にまとめることができる。そのスピード感がとても魅力的に思えました。そして何よりも、石やメタル自体が持つ潜在的な美しさに魅了されています。どんな形にしたらより美しく輝くか、真摯に石やメタルの声を聞き、イマジネーションを働かせる時、とてもわくわくしますね。

ー例えばファッションデザイナーの中には、自分が着るためにデザインする人もいます。あなたの場合はどうでしょうか? 私はあくまでも、お客様のためにデザインしています。自分でも着けてみることがありますが、それは着け心地を確認したり、バランスを見るためです。いつも頭の中で考えているのは、お客様が喜ぶもの、選びたいと思うものが何なのかということです。特に日本のお客様には、今回もいろいろと学ばせていただいたので、この後手がける新作にもそれが生かされると思っています。

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ーこれからどんなジュエリーを作っていきたいとお考えですか? 私が目指しているのは、ファッションとしてのジュエリーではなく、人生に寄り添うパートナーのようなジュエリーです。常に意識しているのは、何年にもわたって使えるタフさのあるデザイン。現代の生活シーンに合い、毎日着けても飽きがこない普遍性もあるジュエリーです。使っているうちに光沢が出たり、あるいは色がくすんだりして味が出るというのも素敵ですよね。その人の使い方や生活に合わせて、よりパーソナルなものとして味わいを増していく革靴のような存在のジュエリーが作れたら嬉しいですね。

ーとても英国らしい発想ですね。 同時に、日本らしいとも言えるのではないでしょうか? 年季の入ったものに美しさを感じるところは、不思議と英国と日本は共通していますよね。

ーあなたにとってはすべての作品が、貴重で大切なものだということですね。 はい。どれもがそれぞれ個性的で、独自のキャラクターを持っていると信じています。

ー時として、手放したくなくなることはありませんか? いえ、新しい家を見つけられた私のジュエリーは、とても幸せです。私も幸せです。一つ売れることでインスピレーションが湧いて、また次の新しい作品が生まれてきますから。私はクリエイターとして、常に前に進み続けなければなりません。どなたかが気に入って買ってくださるということは、何より私の励みになるのです。

ー今後チャレンジしてみたいことはありますか? ここ数年、秋のイベントでは店頭でハンマリングのデモンストレーションを行っていますが、いつかワークショップもやってみたいですね。作り方に興味を持ってくださるお客様がいつも多くいらっしゃいますし、ブランドを知っていただくいい機会になると思います。

ーありがとうございました。

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MALCOLM BETTS

PROFILE

<マルコム ベッツ>デザイナー

MALCOLM BETTS

1964年、ロンドン生まれ。ロンドンのロイヤル カレッジ オブ アートに進学し、アートヒストリーを専攻。ジュエリーの伝統的なマスターピース参考に、デザインや技術を研究。1994年に自身のブランドを立ち上げる。2001年には、ロンドンのノッティングヒルにスタジオを兼ねたショップをオープン。現在、世界中に多くの顧客を持つ。