ββ #1
バーニーズ ニューヨークが日本に上陸した25年前、すでに日本のファッションシーンで突出した存在感を放っていた「ビームス」とスペシャルなコラボレーションが実現。1990年から現在へと続くメンズファッションの奥深さに思いをはせ、4つの代表的なスタイルをモダンに落とし込んだアイテムをラインナップいたします。
1990年、新宿に「米国発のスペシャリティストア」というコンセプトで、バーニーズ ニューヨークの日本1号店がオープンしました。当時の流行スタイルといえば、アメカジ、渋カジ、プレクラシコ、フレンチシックなどなど。そして、そんな数々のファッションシーンをリードしていたのがセレクトショップのビームスでした。
2015年、いま改めて先の4つのジャンルのファッションスタイルが注目を集めています。それはさらに進化を遂げた、現代版の「アメカジ」「渋カジ」「プレクラシコ」「フレンチシック」です。今年バーニーズ ニューヨーク日本上陸25周年を記念して、当時のスタイルをビームスとともに再検証します。今回この企画に協力いただき、モデルとしても登場しているのはビームスのディレクターである中村達也氏と中田慎介氏。
「BARNEYS NEW YORK」と「BEAMS」、ともに頭文字に「B」を抱く2つのストアがコラボレートし作りあげた、「ββ(ベータベータ)」のスタイル&アイテムをイラストレーター綿谷寛画伯の描きおろしイラストと、バーニーズ ニューヨーク メンズバイヤー中箸の解説でお送りします。
アメカジスタイル
90'S
NOW
model:バーニーズ ニューヨーク 中箸充男

アメカジスタイル
90'S
NOW
model:バーニーズ ニューヨーク 中箸充男

<レミ レリーフ> ブルゾン ¥56,160
シャツ ¥35,640
パンツ ¥19,440
<メイカーズ> シューズ ¥233,280
1990年代前半といえば、腰ばき、ニルヴァーナ、MTV、ルーズソックス、MA-1といったキーワードが即座に思い浮かびます。ヴィンテージデニムやスニーカーも、当時はマストなアイテムでしたね。私はまだ中学生か高校生ぐらいでしたので、上野のアメ横で軍物を買ったり、渋谷や原宿のアメカジショップに通って情報を得ていました。なかでもビームスは、アメカジのみならず大人のスタイルまで幅広く扱っているセレクトショップとして、ここに来れば必ず最新の流行が揃っているという印象でした。
今秋のトレンドはミリタリー&スポーツ。MA-1もラグジュアリー系のメゾンをはじめ多くのブランドが手がけています。でも当時のものとは、明らかに違っているんです。たとえばこの<レミ レリーフ>のMA-1は、シルエットがコンパクトでボリュームも抑えられています。シェルの素材はナイロンをよりカジュアルな風合いに加工して、機能的な部分は少しやわらげています。ミリタリーのテイストはそのままに、どこか抜け感のあるMA-1に進化を遂げています。
着こなしも変わったのではないでしょうか。90年代なら、インナーは白いTシャツにヴィンテージデニム。足もとは<レッドウィング>や<チペワ>、または<ゴリラ>のエンジニアブーツだったはず。今ならインナーは裾をアウトに着たペイズリー刺繍のシャツなど。デニムは細身のクロップド丈が気分ですね。足もとはブーツでも、<メイカーズ>のコードバンブーツといったところ。全体にきれいめに進化していますが、基本となるアイテムは、すでに定番といえるものばかりです。そこにちょっとだけ、アレンジが加えられている。それって、いわゆる「ノームコア」的発想の進化版なのかもしれません。
フレンチシックスタイル
90'S
NOW
model:ビームス 中田慎介

フレンチシックスタイル
90'S
NOW
model:ビームス 中田慎介

<バーニーズ ニューヨーク> コート ¥91,800
<ルトロワ>カーディガン ¥31,320
ニット ¥30,240
パンツ ¥29,700
<メイカーズ> シューズ ¥123,120
フレンチシックもそんなノームコア的な進化をしているように思います。ダッフルコートに、<ルトロワ>のボーダーカットソーとボタンカーディガン、ここまでは昔のミニマルなフレンチシックを継承していますが、ボトムはブラックデニムからスエットパンツやジョガーパンツにしてみたり、コインローファーからネイビーのコードバンシューズをあわせたりするんです。
スタイルのベースは変わっていませんが、時代は上質で着やすくてリラックスできる服を求めています。日本で25年を経て変わったもの、震災以降劇的に変わったものもあるでしょうし、ヨーロッパと米国のクロスオーバーも進んでいると思います。アメカジ的なノームコアがヨーロッパのカジュアルにも侵食してきているのは、エディ・スリマンが西海岸に生活の拠点を移したり、米国人がパリっぽいスタイルに傾倒しはじめていることからも伺えます。同時に、日本人デザイナーの海外進出も25年前より格段に進みました。私もバイヤーとして、そんな歴史を踏まえたセレクトが、いま面白いと思うんです。

STAFF'S PROFILE
バイヤー
中箸充男
米国シカゴに留学中、バーニーズ ニューヨークの存在を知る。帰国後、バーニーズ ジャパンに入社。スーツフロア・ファニシングフロア・デザイナーズフロアのスタッフを経てバイヤーに。入荷即完売アイテムの数々を買い付けてきた、そのセレクトは伝説ともなっている。ロック好きでも知られ、自身のスタイルはもちろん、買付のセレクションにもロック魂が滲む。
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August 20th, 2015
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