2018/09/27
INTERVIEW: MAURIZIO DONADI OF ATELIER & REPAIRS
生産の過程で出るダメージ品やオーバーストック、消費者が着古したユーズドなどの「不要」とされた服飾品を、類まれなセンスと技術によって1点1点再生させる<アトリエ&リペアーズ>。設立から3年、サステイナブルとファッション性を両立させる同社の哲学や提案するスタイルは、世界中にサポーターを増やしています。10月6日(土)から10月8日(月・祝)にバーニーズ ニューヨーク銀座本店でのイベントを控えた、デザイナーのモリッチオ・ドナーディ氏にインタビューしました。
―<ラルフ ローレン>・<リーバイス>などでのキャリアを経て、自ら<アトリエ&リペアーズ>を立ち上げたきっかけとは、どんなものだったのでしょう?
二つの会社での得がたい経験が、今のゆるぎない自信となっています。<アトリエ&リペアーズ>スタートへと思い至ったのはある会社のコンサルティングをしている時、仕事とは別に、自分でアーカイブとして持っていたヴィンテージパンツをトランスフォームしようと取り組んでいました。その過程で、これは趣味のレベルではなく仕事にできるのでは?と思いました。「趣味であり、大好きなヴィンテージを扱う作業がフルタイムの仕事になり得る。これは素晴らしい!」と思いついたのです。すぐに行動を起こし、生まれたのが<アトリエ&リペアーズ>。立ち上げから2年半後には、日本のバーニーズ ニューヨークでイベントを開催することとなりました!
―着古した服をリペアして長く着続けるという発想は、米国よりも日本やヨーロッパで古くからありました。そういった中でスタートされた<アトリエ&リペアーズ>への反応は当初から現在へとどのように変化していますか?
米国はさまざまな人種が暮らす多種文化の複合体なので、多様な考え方があると思います。しかし最近、3年前に比べ確実に、人々の「資源の無駄づかい」と「リペアし、使い続けること」に対する意識が高まってきたと感じています。世の中の人々が最も真剣に向き合うべきこのトピックに関して私たちが発信していることは、素晴らしいことだと思っています。それはファッションに関してだけでなく、食べ物や、その他エネルギー関連においても、各業界で生産過多や廃棄物をコントロールすることに真剣に取り組むようになってきました。最近、私たちの考えをサポートしミッションを理解してくれる、そして、クリエイティブなアプローチを尊重してくれる人々が、どんどん増えていると感じます。
LAのウエストハリウッド地区にある<アトリエ&リペアーズ>の店舗。ゆったりとした空間に一点一点異なる表情がプラスされたアイテムが並ぶ。
―なぜ<アトリエ&リペアーズ>を"ブランド"ではなく"イニシアチブ"と呼ぶのでしょう?
クリエイティブかつ廃棄のない物づくりで人々をインスパイアしたいと思っているからです。"ブランド"が人々に何かを提案し、課すものであるなら、私たちは、私たちの考えの"イニシアチブ"をとり、その独創性に人々が賛同してくれたらと思って活動しています。
―従来の「リサイクル」という言葉ではなく「アップサイクル」という言葉を使う理由とは。
「リサイクル」とは廃棄物を他のマテリアルに転化させること。それは私たちが行っていることではありません。逆に私たちの取り組んでいる「アップサイクリング」とは、リユースできるものを、さらによく長く使えるものへと変化させる努力を表しています。
―<アトリエ&リペアーズ>の取組みが、ファッション業界や消費者にどのような影響を及ぼしていると思いますか?
私たちの伝えたいことはとてもシンプル。同業者をインスパイアし、彼らが生産の工程やストックについて再考する。また、我々のサポーターやコミュニティが自分自身のクローゼットを見直し、「どうやったら洋服を無駄に捨てることを避けられるだろう」と考えるいいきっかけになればと思います。
LAダウンタウンにある<アトリエ&リペアーズ>のオフィス。アイテムのリペアもここで行われている。
―クリエイションの中に、藍染や着物柄など日本のテイストを積極的に取り入れているように見受けられます。
日本的な要素を取り入れる理由は、古くから続いている正当でオリジナルなもの、アイコニックなスタイルに対するリスペクトの現れです。常に新しいスタイルを生み出す必要はない、と私たちは考えています。オリジナルなものには、敬意を示すべき美しさが宿っていますから。
―どのように<アトリエ&リペアーズ>のアイテムを楽しんでいただきたいですか?
<アトリエ&リペアーズ>を気に入ってくれるのは、すでに確固たる自分自身のスタイルを持っている方々。そんなさまざまな人のいろいろな解釈を大切にしたいと思っています。私たちが作りあげる1着に込めた思いは、着る人のライフスタイルやテイスト、心地よいと感じる気持ちを尊重するということ。ちなみに私自身は<アトリエ&リペアーズ>のパンツをシンプルなTシャツに合わせて着ています。またある人は、ハイヒールやハイブランドのコートやジャケットとコーディネートしていますよ。
―10月のバーニーズ ニューヨーク銀座本店でのイベントで<アトリエ&リペアーズ>の日本のファンに直接お会いできますね。
今回イベントに参加することをとても特別なことだと思っています。日本の皆さんに、私たちのクリエイティブでありサステイナブルでもある物づくりに直接触れていただき、心ゆくまで笑い、楽しんでもらいたと思います。
WINTER 2018
ARTISAN DAY
ATELIER & REPAIRS
<アトリエ&リペアーズ>ウィメンズ・メンズデニムパンツカスタマイズイベント・デザイナー来店
10月6日(土)~10月8日(月・祝)の日程で、バーニーズ ニューヨーク銀座本店に<アトリエ&リペアーズ>デザイナーのモリッチオ・ドナーディ氏、アーティスト ホーリー氏とマサコ.Y氏が来店いたします。当日<アトリエ&リペアーズ>のアイテムをお買上げいただいたお客様にはご希望で、バックポケットやサイドなど4箇所からお好みの場所をお選びいただき、その場でアーティストによるペインティングを実施。世界でたった1つのオリジナルアイテムをお作りいただけます。
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デザイナー来店時間
10/6 SAT. - 10/8 MON. 銀座本店B1
各日13:00 - 16:00 -
アーティスト来店時間
10/6 SAT. - 10/8 MON. 銀座本店B1
各日13:00 - 18:00
アートイメージ(アートは異なる場合がございます)

※カスタマイズは、当日お買上げいただいた対象アイテムに限ります。詳しくは店頭スタッフにおたずねください。
※来店スケジュール・イベント内容は都合により変更となる場合がございます。予めご了承ください。

PROFILE
<アトリエ&リペアーズ>デザイナー・ファウンダー
MAURIZIO DONADI
イタリア生まれ。<ジョルジオ アルマーニ>・<ラルフ ローレン>・<リーバイス>などで上級副社長を歴任し、アパレル業界で30年以上の経験を経て、2015年ロサンゼルスを本拠地にアトリエ&リペアーズ社を設立。アート・軍物のヴィンテージウェアの収集が趣味。