MEN'S

2016/10/20

FALL 2016 MEN'S BUSINESS STYLE #3

「コートを着る季節になると何となくうれしくなる。外は寒いのに自分はポカポカといったところか。しかも身体に合わせて仕立てたコートは軽く感じられ、まるでジャケットのようでもある」。伊達男として知られたミュージシャン、故加藤和彦氏は、『エレガンスの流儀』という本の中で、コートについてこう書いています。どのようなコートをどう着こなすか、これも秋冬シーズンのスーツスタイルの醍醐味の一つ。"MIXING UP"をテーマにした今シーズンのビジネススタイルで今回ご紹介するのは、コートを取り入れた洒落たスタイリングです。

カジュアルなスタイルでは"ミリタリー"がトレンドとなっていますが、トレンチコートも"ミリタリー"に出自を持つアウターウェアの一つです。このトレンチコートを使ったスタイリングをご紹介しましょう。コートは<インペルメアビレ>という今シーズンデビューのブランドで、ブランド名はイタリア語でレインコートを意味します。新ブランドではありますが、イタリアの某大手ブランドも手がけるファクトリーで生産されたもので、トレンチコートの基本的なディテールをすべて備え、仕立てのよさも折り紙付きです。素材には大きな特徴があり、ウールとポリエステルを混紡しているので、生地に膨らみがあり、着用したシルエットにやわらかさが薫ります。ひざ上までの着丈のバランスもモダンで、今のスーツやジャケットなどのドレスアイテムとの相性も抜群です。今シーズンのバーニーズ ニューヨークのテーマは、配色の妙でコントラストを効かせた着こなしを楽しむことにありますが、このスタイリングでは、ドレスシャツとタイとシューズにボルドーを効かせ、華やかさを演出しました。ドレスシャツのストライプ、ペイズリータイの色、赤茶のシューズと、すべて暖色のブラウン系で繋げています。スーツはコートのオリーブグリーンに馴染みのよい<ラトッレ>のグレースーツ。このスーツにもブラウンのカラーストライプが入っています。同系色でまとめたコーディネートが、ビジネススタイルに洗練された雰囲気をもたらしてくれるのです。ちなみに<インペルメアビレ>のコートは、日本では今シーズンは、バーニーズ ニューヨークのみのお取扱いです。

今シーズンから登場したイタリア ナポリ発の<デ ペトリロ>のチェック柄のジャケットに合わせたのは、人気の<タリアトーレ>のネイビーコート。こちらは"トーマス"というモデルで、デザイナーのピーノ・レラリオ氏がオリジナルでデザインしたコートです。チェスターフィールドコート・ポロコート・バルカラーコートのよさをミックスしたデザインで、オリジナリティの高さが感じられます。背中にはイタリアで「マルティンガーラ」と呼ばれるバックベルトがつき、背中にポイントを作ります。着丈のバランスが素晴らしく、胸からウエストにかけてのフィッティングもシャープで、スーツからジャケットスタイルまで応用範囲が広いコートです。<デ ペトリロ>のジャケットは、芯地がまったく使われていない快適な仕立てが特長。使われている生地はシェットランドウールを使ったチェック柄で、秋冬の季節感を漂わせるワインとグリーンの配色です。チェック柄のジャケットを着こなす際は、組み合わせるアイテムの色を、チェックに使われている色から拾うと全体にまとまりを感じさせ、シックに見せることができます。タイは赤系の無地を、ドレスシャツに使われているのもベージュ系のチェックです。ドネガルツイード調の<ベルナール ザンス>のパンツの生地も、キャメルをベースにワインとグリーンのネップが入っています。もちろんシューズもブラウン系で。これはオリジナルの"マディソン"のUチップモデルで、日本で製作したものですが、トゥがやや長めで、セミスクエアなデザイン。ビジネスシーンではきやすい一足に仕上がっています。

SHOP THE STORY