2016/10/27
WINDOW DISPLAY: SHADOW BOX at SHINJUKU
クリエイティビティを追求しウィットの効いた演出にこだわるバーニーズ ニューヨークのウィンドウディスプレイ。今回も、新宿店からメインウィンドウとは別に設けられた小さな正方形のウィンドウ、シャドウボックスをご紹介。デザインを手がけたビジュアルディスプレイチームの伊藤が見どころをご案内します。
シャドウボックスは約50×50センチメートルの小さな空間で、主にアクセサリーやバッグ・シューズなどの小物をフィーチャーしています。今回はシューズをメインに使い、そのほか複数の小物をコーディネートしてヨーロッパのシューズブランドならではの世界観を表現しようと試みました。
もっともこだわった点は、強い色同士の組合せです。シンプルでシックなテイストが主流になる中、あえて色づかいで非日常的なイメージを加えたいと思いました。メンズでは、バックがロイヤルブルー、台がピンク、円柱にはネオンイエローを使い、ウィメンズではピンクのシューズ・オレンジのレザーアイテムに市松模様の台を合わせてコントラストをつけています。インパクトがありながら下品にならないようにと参考にしたのが、1990年代のオートクチュールの巨匠たちの作品。<エマニュエル ウンガロ>や<クリスチャン ラクロア>、<イヴ サンローラン>といったビッグデザイナーによる独特な色づかいや柄のミックスにインスパイアされて構成したところ、冒険ではありましたが上品にまとまりました。アイテムが主役になることは大前提としてあるものの、狭いスペースゆえに実験的な手法にトライできるのもシャドウボックスの特徴です。
シャドウボックス内のアイテムの選定にあたっては、オートクチュールから色をピックアップしたこともありヨーロッパの男性像・女性像を意識しました。普段はニューヨークのシンプルでクリーンなセンスをイメージすることが多いのですが、今回は色彩感覚がユニークなヨーロッパらしい感性の人物をイメージ。「冬には冬らしい色を」、「メンズに鮮やかなピンクは合わせない」といった既成概念を裏切る、クセのあるスタイリングでインポートのアイテムを取扱うスペシャリティストアらしい雰囲気を表現しています。また、今回のように同じテーマでメンズ・ウィメンズに分かれたウィンドウを制作する際は、必ずその男女2人の人物像に共通点を持たせ、お互いの存在を引き立て合うように気を配っています。
狭いスペースのシャドウボックスまで一切妥協することなく、こだわり抜いて作り込むのはバーニーズ ニューヨークならではの特色。シャドウボックスを「小さなエンターテイメント」だと捉え、日ごろから演出のアイディアを書き留めています。お客様にのぞき込んでご覧いただけるようにさまざまな工夫を凝らしていますので、ぜひ店頭でチェックしてみてください。
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STAFF'S PROFILE
ビジュアルディスプレイチーム スタッフ
伊藤僚佑太
ニューヨークのパーソンズ・スクール・オブ・デザインでコミュニケーションデザインを専攻し、卒業後バーニーズ ジャパンに入社。メンズMDチームのアシスタントとして従事した後、退社してグラフィックデザイナー・新聞社デザイン課を経て、バーニーズ ジャパンに再入社。現在は新宿店のシャドウボックスをはじめ、クリエイティブディレクターのもと店舗ディスプレイからビジュアルデザインまで多岐にわたり担当。