INTERNATIONAL WOMEN'S DAY: 年に一度、ジェンダーに思いを馳せる | CULTURE | BARNEYS NEW YORK

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INTERNATIONAL WOMEN'S DAY:
年に一度、ジェンダーに思いを馳せる

毎年3月8日はINTERNATIONAL WOMEN'S DAY(国際女性デー、以下IWD)。遡ること113年前、1904年3月8日にニューヨークで女性労働者が婦人参政権を求めてデモを起こした。それを受け、ドイツの社会主義者クララ・ツェトキンが1910年の国際社会主義者会議で「女性の自由と平等のために戦う記念日」を提唱したことが、IWDの始まりである。米国のバーニーズ ニューヨークでは毎年3月、様々なジャンルにおける女性の貢献に対して賛意を表明するキャンペーンを行っているが、今年から日本でも同様の取組みが行われることになった。ファションディレクターの鈴木春が思うこととは。
text: Ryoko Kuraishi

毎年3月上旬、ヨーロッパの街角はミモザの花で埋め尽くされる。ファッションディレクターとして世界を駆け巡る鈴木が初めてIWDを意識したのは、今から20年ほど前のこと。ファッションウィークのために訪れたパリやミラノでのことだった。
「この時期、街の花屋はミモザの黄色に染まります。タクシーに乗っていると信号で停車するたび、花売りがミモザを売りに来るんです。その時初めて、3月8日はIWDで女性にミモザの花を贈る習慣があるんだと知りました」
日本では1986年、雇用における男女の均等な機会と待遇を確保する「男女雇用機会均等法」が施行された。働く女性たちがその能力を十分発揮できるよう、雇用環境の整備を目的とした法律である。だが、実際の働き方において男性と女性の間には物理的・心理的に大きな隔たりがあった。

例えばこんなことがあった。1989年、鈴木は第一号店となるバーニーズ ニューヨーク新宿店の立ち上げに奔走していた。
「オープンに際し、バイヤーとしてドメスティックブランドの方々にご連絡をしていました。アポイントを取って実際にお目にかかり、店舗のコンセプトを説明したところ、多くのお取引先様にご賛同いただけました。商談自体はとてもうまくいったんです。でも、最後に必ず『次回は男性の担当者を連れてきて』と言われました。上司=男性、という時代でもあったんですね。なので男性社員がいないと、それ以上話を進められなかったんです」
いちばん恐ろしいのは、それを言われた自分自身が何の疑問も感じなかったことだという。
「なぜってそれが普通でしたし、社会進出を果たしたロールモデルがまだまだ身近ではありませんでした。社会で活躍する女性は映画や小説の中の話に過ぎず、男性と肩を並べ、あるいは尊重されて仕事をする女性は自分の中ではぼんやりとした存在でしかなかった。実在したとしても、男勝りなタイプだったり。そうやって女性性を捨てて仕事をしなければ認められないというような先入観があったのかもしれません」

そんな中、米国で行われたバイヤーミーティングの席で初めて気付かされたことがあったという。
「日本から参加した私はついついお茶を入れたり車を手配したり、バイイング以外の雑務をこなしていました。でもある時、本国のバイヤーに言われたんです。『あなたは秘書なの?秘書ならプロフェッショナルな心配りをすべきだし、バイヤーならお茶を淹れる前にアイデアの一つでも出すべきなのでは?』って」
プロフェッショナルとして求められるレベルの高さを痛感させられた一言だった。その場にまず必要なのはバイイングのスキル、そこには性差も年齢もない。「一生懸命仕事をする」「英語を話せる」「最低限の気配りができる」という、女性の社会人であればそれだけである程度評価されていた部分が、日本を出たら全く通用しないことを思い知らされた。求められるものはジェンダーによって変わるのではないという事実に衝撃を受けた。
あれから四半世紀が過ぎ、私たちの意識も少しずつ変わってきている。
「ファッションの世界ではジェンダーフリー、ジェンダーイクオリティが進んできています。今シーズンのコレクションでも、若くてパワフル、そしてどんな権力にもおもねらない女性デザイナーが登場しています。自分の価値観を大切にし、自らの心に響かないことに対し、きちんとNOと言えるその姿は頼もしいものでした」

今年、本国の動きを受けて日本でもIWDのキャンペーンを実施することになった。これまでチャリティに取り組み、バリアフリーやエシカルなど様々な問題を考えてきた中で、次世代を見据えてアクションを起こそうというのがその趣旨だ。その背景には、次世代のクリエイターたちの存在もある。生まれた時から様々なジェンダーに接し、SNSを駆使して世界中にネットワークを持つ、まさにジェンダーレス、ボーダーレスを体現する世代だ。
「そんな彼らでもジェンダーの不平等や国籍の格差を感じていて、将来に対して漠然とした不安を抱えていることも。次を担う彼らの思いをないがしろにしていては、これからの世界が立ち行かなくなる。私たちが今できるのは、彼らの思いや価値観、夢やビジョンを共有すること。そしてジェンダーはもちろん、ハンディも国境も越えて、若い才能にチャンスが巡ってくるようサポートを行うこと」
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、日本にはますます多彩な国籍、ジェンダーの人々が集まってくる。そうした時代を迎えた今、私たちが社会に対してどんなメッセージを発するのか。それはとても意義深いことだ。
「女性性がハンディにならないように、あらゆる人がもっと自由に活躍できるように。まずは今回のキャンペーンで、IWDの意義や存在を知っていただければと考えています」

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鈴木春

STAFF'S PROFILE

ファッションディレクター

鈴木春

幼少よりインドで育つ。コミュニケーションの大切さを感じ、小売業への興味を抱き、1989年のバーニーズ ジャパン立ち上げ期よりプロジェクトに参加。ウィメンズアクセサリーバイヤーを経て、現在はウィメンズのバイヤーへのバイイングイメージや、新規リソースを開拓するファッションディレクターとして日々世界を奔走する。趣味は読書と海、プール。

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