BARNEYS SALON Vol. 1: 夏木マリ×谷口勝彦 | CULTURE | BARNEYS NEW YORK

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BARNEYS SALON Vol. 1: 夏木マリ×谷口勝彦

BARNEYS SALON Vol. 1: 夏木マリ×谷口勝彦

バーニーズ ニューヨークのメンバーズプログラム<MY BARNEYS>のイベントとしてスタートした「BARNEYS SALON(バーニーズ サロン)」。ファッションやアートをはじめ、カルチャーの様々な分野からゲストをお招きするサロンの第1回は、夏木マリさんとバーニーズ ニューヨークでクリエイティブディレクターを務める谷口勝彦の対談が行われた。夏木さんのスタイルへのこだわりや1990年代に暮らしたニューヨークの話など、トークが広く深く展開した。
text by Ryohei Nakajima

 

「今日は上から下まで全身バーニーズ ニューヨークで、セレブのようにセレクションさせていただいたんですよ」と、対談に登場すると、フロアを行ったり来たりしながらスタイリングしたことを楽しそうに語りはじめる夏木さん。デビュー当時から、自らを表現する手段のひとつとしてもファッションを重視していたという。
「1970年代に仕事をはじめたころは、まだスタイリストさんもヘアメイクさんもいなかった時代で、自分で衣裳などのお買物をしてから仕事に行っていたんですよ。似合うも似合わないもわからずに洋服を選んで失敗もしましたけど、楽しかったですね。今は自分の好きなものや嫌いなものがわかってきましたけど、仕事の時は自分で服を選んで"いつか見た夏木マリ"を演出してしまうよりも、ディレクターの方のクリエイションを楽しんだほうがイメージが広がっておもしろくなると思うんですよね」
 スタッフから、<サルトル>のブーツを購入する夏木さんを接客した時の話を自慢げに聞かされたことがあると語った谷口も、そのスタイリングに注目してきたようだ。
「夏木さんはデビューされたころからアイドルというよりも大人の印象が強くて、自分自身をデザインしてアートピースとして表現し続けている方だと思っています。そういう方ってなかなかいませんよね。"印象派"(※パフォーマンスと音楽で舞台表現をする夏木さんのクリエイション)はまさにそうして生まれた形態だと思いますし、非常に感銘を受けました。イベントの打合せの最中にも、バーニーズ ニューヨークのウィンドウに暮らしていただいてそれをパフォーマンスにしたり、フロアにステージを作って踊っていただいたり、オリジナルの"印象派"を作っていただきたいという話で盛り上がりましたよね」

パフォーマンスのインスピレーションとは?

 これまでに数々のウィンドウディスプレイを手がけてきた谷口は、以前にもディスプレイをきっかけに夏木さんと縁があったことを明かした。
「2008年あたりに、『HAVE A HIPPIE HOLIDAY』というタイトルでクリスマスのウィンドウを手がけたことがあります。ヒッピーをモチーフに、ジャニス・ジョプリンのようなギターを弾いた女性の巨大な造作を作って表現したんですね。その立体にヒッピーのベストみたいなのを着せていたら、夏木さんがお店のウィンドウをご覧になって、店員に"ディスプレイにあるベストをいただけますか?"と質問されたそうなんですよ。私が出張中だったので、店から連絡を受けて"着れないほどに大きいけど、それでもよろしければ差し上げてください"と伝えたんです」
 夏木さんがちょうど"ジビエ・ド・マリ"というバンドをスタートし、ジャニス・ジョプリンの歌をカバーするタイミングだったこともあり、ウィンドウのベストに一目惚れしたのだそうだ。普段からインスピレーションを求め、アンテナを張り続けていることが伝わってくる。
「自分のクリエイションが渇望しているなっていうときには、ウィンドウディスプレイやアート作品を見たりするんですよ。色の使い方とか空間の作り方にインスパイアされて、こういう曲を歌おうとか、こういう演技にしようとか思うんです。演劇を観るよりも、私の知らないファッションやミュージアムのインスタレーションなどから勉強できることは本当にたくさんあるんです」と夏木さんは語る。
 1993年にスタートした"印象派"では、パフォーマーとしての出演のみではなく、舞台演出から広告ビジュアルやメイクまでを含めた全面的なディレクションを行っている。メイクアップアーティストにリクエストを出し、ミュージシャンには音楽のイメージを伝えるなどしてコラボレーションを続けてきた。
「私たちの仕事は、本当は待っている仕事なんですよ。映画などの企画があって、出演依頼をいただいて、そこから仕事がはじまるわけです。でも待っているだけではなく、自分から好きなものをどんどん発信して、"この指止まれ!"の感覚でプロジェクトを進められるのが一番充実できますね」

行動力とブレない生き方

 夏木さんは1990年に約半年間、ニューヨークに暮らした経験がある。週に2回ほど、当時はまだチェルシーにあったバーニーズ ニューヨークの店舗に通い、ショッピングを楽しみながらそのカルチャーに刺激を受けていたという。ちょうど新宿店がオープンする半年ほど前のことだ。
「当時はまだ日本にそんなに素敵なお店がなかったので、ハイブランドからオリジナルブランドまで素敵なアイテムがたくさん並ぶバーニーズ ニューヨークに通うのが大好きでした。週末になるとバーニーズ ニューヨークで洋服を買って、近くのフリーマーケットにその洋服に合うヴィンテージのアクセサリーを探しに行くんです。ヴィクトリア朝の帽子があったり、日本では手に入らないような不思議なものがたくさんあって、ニューヨークのフリーマーケットは魅力的でしたね。一度入るとスタンプを押してくれて出たり入ったりできたので、バーニーズ ニューヨークと往復して週末は忙しかったです」
 その瞬発力と行動力は、デビュー当時から現在までずっと変わっていないように感じられる。「BARNEYS SALON」の終盤、参加者との質疑応答で「ブレない生き方の秘訣」について質問されると、明快な答えが返ってきた。
「私はあるとき、人生には時間がないと思ったんですね。震災もありましたし、明日何があるかもわからない。そうしますと、今楽しいこと、今やりたい仕事、今着たいものや食べたいものを選ぶ、というように、どんどん"今"派になってくるわけです。今のことで一生懸命になると、自然とあまり悩まなくなってフットワークもよくなると思います。その方が楽しいことにいろいろ出会えますよね」
 6月12日(木)から15日(日)まで、世田谷パブリックシアターを会場に"印象派NÉO" VOL. 2『灰かぶりのシンデレラ』の公演が行われる。既成のスタイルにとらわれず、オリジナルな表現を生み出し続ける夏木さんの姿勢が、パフォーマンス作品に反映されるに違いない。

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