BARNEYS CAFE BY MI CAFETO PREMIER: コーヒーで世界を変える―香り高き1杯に込められた思い | CULTURE | BARNEYS NEW YORK

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BARNEYS CAFE BY MI CAFETO PREMIER:
コーヒーで世界を変える―香り高き1杯に込められた思い

バーニーズ ニューヨーク六本木店にある「BARNEYS CAFE BY MI CAFETO PREMIER(バーニーズ カフェ バイ ミカフェート プルミエ)」。大理石のカウンターで最高品質のコーヒーを楽しめる、まさに"プルミエ"なカフェとして、昨年秋のオープン以来話題を集めている。この場所のプロデュースを手掛ける「ミカフェート」代表 川島良彰氏は、"コーヒーハンター"としてつとに知られる人物だ。2回に渡る連載の今回は、本気で「コーヒーで世界を変えたい」と語る川島氏の生き方、そして取組みについてご紹介したい。
text: Rie Karasawa

カフェの壁面に並ぶボトル、そしてブルゴーニュの格付け同様「プルミエ クリュ」と呼ばれる1杯。それだけ聞けば、ここで提供されるのはワインかと思われても不思議ではない。否、提供されるのは世界中から選りすぐられた豆から淹れるコーヒー。こうしたネーミングには、川島氏の「コーヒーはワインに匹敵するもの」という思いによるものだ。

「『ミカフェート』では、たとえばパナマの『コトワ農園』という農園の豆だけでも、品種の違い、畑の高度の違い、生産プロセスの違いなどで6品目を揃えています。ワインと同じで、コーヒーもそうした違いで味が変わりますから。でも日本では、まだまだ焙煎と抽出の技術ばかりが重要視される。私は原材料が一番大事だと思っています。料理と同じですよ。いい料理人は技術だけでなく、食材の目利きも大切だと知っているでしょう」と川島氏。「このカフェで提供しているオリジナルブレンド『BLACK TIE(ブラックタイ)』も、パナマの2つの産地からいい農園を選び、さらにそれぞれの一番いい畑から採れた豆をブレンドしたもの。絶対にうちでないとできないコーヒーだと思っています」。

今や"コーヒーハンター"として世界中を飛び回り、各国の生産者と確固たる絆を築いている川島氏だが、そのやり方はコーヒー業界において、むしろ異端ともいえるものだ。既存の慣例に倣うのではなく、自ら道を切り開いてきた川島氏の原動力とは一体何なのだろう。静岡でコーヒー焙煎業を営む家に生まれ、幼少期からコーヒーに親しむ中、小学生の頃には既に、誰がどのような場所でコーヒーを作っているのか、産地を自分の目で見たいと思っていたという川島氏。

「一度やりたいと思ったら止められない性格なんです。産地に行きたくて、小学6年生でブラジル大使館に手紙を書いたくらい。返事が来たので喜んで開封したら、日本政府に相談してくださいと書いてあって(笑)。両親に見つかって怒られましたね」。高校3年生の冬、ようやく親のつてを辿り、中米エル・サルバドルへと留学。当時の駐日大使が世話役で、身の回りのことはすべてメイドがやってくれる贅沢な環境だった。「でも向こうに到着した日、大使が車で私を、繁華街の、いわゆる赤線地帯に連れて行ったのです。貧しい人々の生活を見せて、『この現実を忘れちゃいけない』と。ショックを受けましたが、こういう人たちがいるから自分が生活できるんだと知ることができたのは、本当によかったと思います」。

留学して半年ほど後、本格的にコーヒーを学ぼうと、国中から農学博士が集まる名門エル・サルバドルの国立コーヒー研究所の門を叩いた川島氏。門前払いを受けるものの、ここでも元来の"止められない性格"を発揮。「1ヶ月座り込みを続けたら所長が根負けし、最初で最後の研修生としてカリキュラムを組んでもらえることになって(笑)。全国にある研究所で、すべての課を3ヶ月ずつ回って学べたのはラッキーでした」。

このとき川島氏に強烈な印象を残したもの、それは現地の人々の"生きる力"だった。「たとえば畑で収穫作業をしていて、喉が渇いたとします。私たちは水を探しますが、現地の人はするすると木に登ってヤシの実を切り落とし、それで喉を潤す。貧しいけれど、その生命力には敵わないんです。いろいろなことを考えさせられました」。その後、エル・サルバドルでは内戦が始まり、街の風景は一変する。「お世話になった大使をはじめ、友人が7人も殺されました。戦争は何もいいことはありません。さまざまな経験をして、資本主義、共産主義といったくくりとは関係なく、生産者がちゃんと作ったものに、きちんと対価が支払われる市場が正しいと思うようになりました」。

フェアトレードと謳う商品に違和感を覚えると語る川島氏。貧しい人が作るものに対し、かわいそうだから買うのではなく、おいしいからという理由で買ってほしい。そのために技術のある生産者のものは付加価値を付け、相応の価格で販売する。技術のない生産者には技術を教え、品質を上げる。そんな仕事を、川島氏は「天命」と言い切る。「私よりすごい技術者はいくらでもいますよ。でも私は世界中を回って、いい産地も、そこの技術も知っている。そして日本という消費国で生まれ育ち、その現状も知っています。これは自分の強みだからこそ、やらなければいけないことだと思うのです」。

「BARNEYS CAFE BY MI CAFETO PREMIER」で提供されるコーヒーを飲むときは、ぜひ、最上級の豆のおいしさをゆっくりと味わってほしい。そして、その向こうにある産地・生産者・経済や政治といったさまざまな事柄に、少しだけ思いを馳せてほしい。私たちがそうして考えることが、何かの一歩に繋がるはずだから。「コーヒーで世界を変えたい」。長い余韻が心地よいこの1杯には、川島氏のそんな信念が込められている。

BARNEYS CAFE BY MI CAFETO PREMIER: コーヒーハンターの1杯を楽しめるカフェはこちらからご覧いただけます▶▶▶

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PROFILE

ミカフェート オーナー・コーヒーハンター

川島良彰

1956年静岡生まれ。1975年中米エル・サルバドル国立コーヒー研究所に留学し、コーヒー栽培・精選を学ぶ。その後大手コーヒー会社に就職。ジャマイカ・ハワイ・インドネシアで農園開発を手掛け、マダガスカルで絶滅危惧種の発見と保全、レユニオン島では絶滅した品種を探し出し、同島のコーヒー産業復活を果たす。2008年独立し株式会社ミカフェートを設立し、新しいコーヒー文化を提案。
日本サステイナブルコーヒー協会理事長、JAL日本航空コーヒー・ディレクター、タイ王室メイファールアン財団コーヒーアドバイザー、カリフォルニア大学デイビス校コーヒーセンター アドバイザリー・ボードメンバー等を務める。

BARNEYS CAFE BY MICAFETO PREMIER

港区六本木7-7-7 バーニーズ ニューヨーク六本木店2F(Google Map)
営業時間: 月~木・日 11:00~20:00(L.O. 19:30)
金・土 11:00~20:30(L.O. 20:00)