2016/12/01
BOOK: BARNEYS NEW YORK
バーニーズ ニューヨークは、代名詞とも言えるアーティスティックなウィンドウディスプレイや広告など、これまで世に出してきた独創的なクリエイティブを振り返るヴィジュアルブック『Barneys New York』(リッツォーリ ニューヨーク刊)を出版。インスピレーションあふれるファッションアート本としても、またドキュメンタリータッチの読み物としても魅力のある仕上がりで、広く世界で話題となっている。
text: Shigekazu Ohno
ヴィジュアルブック『Barneys New York』がついに日本にも登場
ANDY WARHOL, ARTIST, NEW YORK, AUGUST 14, 1969 / PHOTOGRAPH BY RICHARD AVEDON
バーニーズ ニューヨークの物語は、20世紀からの激動のファッション史そのものであると同時に、ニューヨーク市自体の発展の歩みとも重なる
── 本書を手にする者は、店名になぜ「ニューヨーク」の文字が入るのかを、創業者バーニー・プレスマンから始まる壮大なサクセスストーリーとともに理解し、かつそこに込められた想いを共感とともに受け入れることになるだろう。ファッション界におけるニューヨークでの成功、それはすなわちアメリカンドリームの体現にほかならなかったのである。
OUR TOWN WINDOW, 2016
FRED PRESSMAN AND MAYOR JOHN LINDSAY, "INTERNATIONAL HOUSE" AD CAMPAIGN, 1970
本書『Barneys New York』は、300ページを超えるボリューム中に、これまでの93年間の歴史を振り返る貴重なフォトアーカイブや、ともに手を携えて時代を切り拓いてきた各界のセレブリティたちのコメントやエピソード、ドキュメンタリータッチで激動の歴史を振り返るヒストリーや、常にセンセーションを巻き起こしてきたウィンドウディスプレイをはじめとするクリエイティブのアーカイブなど、さまざまな要素を盛り込んだ贅沢な構成となっている。
PHOTO BY NOBUYOSHI ARAKI, 2010, MODEL: KIKO MIZUHARA
GAGA'S WORKSHOP, HOLIDAY 2011
嬉しいのは、日本国内のバーニーズ ニューヨーク販売分(12月3日(土)販売開始予定)においては、内容の一部を抜粋して翻訳した日本版限定リーフレットがサービスとして用意されていること。フォトグラファーのブルース・ウェーバー、シューズデザイナーのクリスチャン・ルブタン、ファッションデザイナーのジョルジオ・アルマーニ、アーティストのアンディ・ウォーホルなど、時代の寵児と呼ばれてきたセレブリティたちの生の声も数多く収録され、バーニーズ ニューヨークがいかにニューヨークのハイライフを体現する場所となりながらも、カッティングエッジを信条とした独自のコミュニケーションを行い、カルチャーの中心を司ってきたかを明らかにしている。
20 YEARS OF CHRISTIAN LOUBOUTIN WINDOW, 2011
PHOTO BY BRUCE WEBER, NEW YORK, 2016
ニューヨークを愛する者には、その独自の発展の歴史と文化を知る貴重な資料として。ファッション・デザイン・アートに関わる者には、インスピレーションの源として。広告やマーケティングに携わる者には、目からウロコの斬新な取組みの事例集として。そしてすべての人にとっては、信念を貫き、歴史に名を残した男たちの感動の物語として、本書は多くの人々の座右の書となるだろう。
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Barneys New York
ハードカバー・304ページ
編著: クリストファー・ボレン
出版: リッツォーリ ニューヨーク
12月3日(土)11:00よりバーニーズ ニューヨーク銀座本店・新宿店・六本木店・横浜店・神戸店・福岡店・オンラインストアにて販売開始(ダイジェスト版日本語リーフレット付)。

PROFILE
大野重和
(lefthands)
『エスクァイア日本版』編集者を経て、2007年に株式会社レフトハンズを創設。クリエイティブディレクター、エディターとしてさまざまな広告およびエディトリアルコンテンツの制作に携わる。本書『Barneys New York』では日本語訳を手掛けた。