2020/12/12
#(HASHTAG) NEW YORK! Vol.22
スケートボードの世界に起こるガールズ・ブーム
2017 Skate Girl Film LLC
VERY BARNEYS!なニューヨーク情報を現地在住の高久純子さんがお伝えいたします。
スケートボードで渋滞する街を駆け抜け、公園では男子顔負けのテクニックにも挑戦する。そんな女性スケートボーダーが徐々に増え、グループを組んで活動するガールズスケーターの存在はメディアでも取り上げられることも。流行のストリートファッションに、女性ならではのキュートさやセクシーさをトッピングした着こなしや、スポーティで文化的な彼女たちのライフスタイルにも注目が集まっています。
ジェンダーレス化が進む中でも、女性が本格的に入っていきにくいジャンルだったスケートボード。スケートボードのブーム再燃とともにニューヨーク中に整備されはじめたスケートパークで、アクロバットな技やスピードを競っているのは、決まって男性ばかりでした。しかし、そんなスケートボードの世界にも、とうとうガールズ・ブームが!

2017 Skate Girl Film LLC
劇中でも、ダウンタウンやブルックリンにある実在のスケートパークに集合してスケートボードを楽しむクルーたち。
サンダンス映画祭の作品賞を受賞した、クリスタル・モーゼル監督は、ある日地下鉄でスケートボードを抱えておしゃべりに興じる女の子の集団に出会いました。声をかけると、彼女たちが女の子だけの"スケート・キッチン"というスケートクルー(チーム)を作っていると聞き、さらなる興味を掻き立てられます。モーゼル監督は、彼女たちの自然体のかっこよさやライフスタイルに新鮮な驚きを覚え、いつかこの新しいムーブメントを自分の作品のモチーフとしたいと思ったそう。

2017 Skate Girl Film LLC
映画は実在するスケーター集団"スケート・キッチン"のスケーターたちを起用し、彼女たちの身に実際に起こったリアルな出来事を脚本化し製作している。スケートボードが趣味というジェイデン・スミスも登場!
2016年にイタリアのファッションブランド<ミュウミュウ>が手掛けたプロモーション企画、『MIU MIU WOMEN'S TALES』という短編映画シリーズで、モーゼル監督はこの"スケート・キッチン"を題材にショートフィルムを製作。この作品は話題となり、今年日本でも公開された映画『スケート・キッチン』へと昇華されたのです。
人種もバックグラウンドも違う女性たちが、スケートボードという共通の趣味で繋がり、チームとなっていく過程を描いた同作品の影響で、ニューヨークのガールズスケーター人口は急増中。ロウワー・イーストサイドやブルックリンで、男性スケーターに負けずとも劣らない技に挑戦したり、ストリートをチームでクルーズしたり。彼女たちのボーイッシュでスポーティな着こなしや、アクティブなライフスタイルは、憧れのスタイルとなっているのです。

2017 Skate Girl Film LLC
スケートボードの技やおしゃれは競い合うけれど、プライベートな悩みはみんなでシェア。ニューヨークのスケートボードシーンを通して女性同士の友情を描く。

かつて"スケート・キッチン"の面々もアルバイトをしていたというブルックリンにあるスケートボードショップ&スクール「SKATE YOGI」。女性スケートボーダーの来店は年々増えているそう。接客を担当するヘレン・ウォレンさんもスケートボード女子!
<ヴァンズ>や<ステューシー>などのスケーターブランドもウィメンズアイテムを提案しているほか、ニューヨーク市内のスケートボードショップでも女子好みのデザインのスケートボードデッキが販売されるなど、ブームの一端がうかがえます。
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『スケート・キッチン』
http://skatekitchen.jp/
SKATE YOGI
https://www.skateyogi.com/

PROFILE
JUNKO TAKAKU
(absolute te-ma & company)
ファッション雑誌編集者を経て渡米。NYをベースにファッション、ライフスタイルビジネスのコンサルティングを手掛ける。