INTERVIEW: HIROYUKI YANAGIMACHI OF HIRO YANAGIMACHI | Designer Interview | MEN'S | BARNEYS NEW YORK

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INTERVIEW:
HIROYUKI YANAGIMACHI
OF HIRO YANAGIMACHI

​外羽根式と内羽根式シューズは構造が異なります。​異なる以上、木型も同じというわけにはいきません--​かつてないオーダーシューズを完成させた<ヒロ ヤナギマチ>の柳町弘之氏が3月18日の横浜店を皮切りに今年もバーニーズ ニューヨークでイベントを開催します。バーニーズ ニューヨークのバイヤー倉科良樹が柳町氏のアトリエを訪問。イベントの見どころから靴作りにかける思いまで、たっぷりと語っていただきました。

─3回目となる今回のオーダーイベントにはエクスクルーシヴモデルがお目見えします。
バーニーズ ニューヨークは稀有な店です。横浜・神戸・福岡と各店を回らせていただいて感じたのは、個人店に近い人間味があったということでした。地元の方々とのコミュニケーションをしっかり築いていらっしゃるんですね。それは我々と接するときも変わりません。新参者にもかかわらず、古くからお付き合いさせていただいているような、心のこもった歓待。オーダーが入ると、それこそ一緒に喜んでくれます。
お客様はもちろん、そんなスタッフにも記憶にとどめてもらえる靴がつくりたい、という思いがありました。

─エクルクルーシヴモデルの見どころを教えてください。
それぞれの街のイメージを形にしています。トラディショナルな街の代表である横浜には肌理の細かなスエードと型押し革のサドルシューズ、洗練された印象がある神戸にはミュージアムカーフのホールカット、九州男児の街、福岡にはスキンステッチのUチップ、といった具合に。Uチップに載せたレザーはハッチグレイン。あのロシアンカーフをもっとも正確に再現した型押し革と言われています。

─バーニーズ ニューヨークを舞台に選ばれたそもそもの経緯は?
実はこのアトリエを構えたタイミングでお声がけいただいたのですが、なにぶん準備不足でお断りせざるを得ませんでした。弊社のメニューにパターンオーダーを加えたのを機にあらためてこちらからアプローチさせていただきました。そこから2年かけて態勢を整えました。

─柳町さんがパターンオーダーに着手されるというニュースは業界でも驚きをもって迎えられました。
10年あまり続けていると、いただいたオーダーの修正内容に共通する傾向が浮かび上がってきます。これを収斂した木型が作れたら、ひょっとしたら新たな世界が拓けるかもしれないと考えたのです。<エドワード グリーン>のラスト32、<オールデン>のモディファイドラスト。既製靴ながらはきやすいと言われる木型があります。そういうものに、私なりのアプローチをしてみたかったのです。

コンセプトはもちろん、人の足由来。象徴的な構造はアジア人の特徴である足首の傾きを踏まえたシルエットにあります。我々の膝から下は微妙にねじれているんですね。ねじれを受けとめるため、インサイドに肉をつけて厚みをもたせるなどの工夫をしました。また、甲の立ち上がりを抑えています。踵のフィット感を向上させるにはただ踵を小さくすればいいものではない。甲と踵でホールドする必要があるのです。薄く広めにとられた爪先は、ほどよい開放感と緊張感を両立します。
レングスは23.5~28.0センチメートルの10サイズ、ウイズはEとD、さらに内羽根と外羽根の木型を揃えます。左右のサイズ違いなどさらなる調整にはインソック(中敷)で対応し、お客様の足にぴたりとフィットする靴を目指します。

40を超えるデザインからお選びいただけますが、ローファーとブーツは含まれていません。シューレースで調整する構造の靴とそれらの靴の木型は設計思想が大きく変わってくるからです。ただ、気軽に楽しめるというパターンオーダーのポリシーからすると、ローファーがないのは物足りない。もっとも脱ぎはきの容易なデザインですからね。ここは今後の課題です。

できうる限りの努力をした自負はありますが、その木型が万人に合うとはとても言えません。そんな単純なものではないのです。しかし、既製靴で十分と考えていらっしゃる方も、私どもからすれば改善の余地があるケースは珍しくありません。正しいフィッティングとはどういうものかを啓蒙するきっかけにはなると思います。

─考えてみれば<ヒロ ヤナギマチ>の幕開けはパターンオーダーでした。
 靴作りというものは、引く線一つとっても意味があります。はじめのうちは考え抜いたバランスを崩したくない、という気持ちがありました。

─そのこだわりが出尽くしたと言われる紳士靴のデザインにあって同業者も唸る創造につながりました。
ありがとうございます。ところが肝心のフィッティングに関しては目論見どおりいかなかった。ほどなく木型にメスを入れるようになりました。

ビスポークシューメーカーとしてお客様の足と向き合う日々の積み重ねの上に生まれたパターンオーダーは、初期のそれとはまったくの別物ととらえています。

─2016年には海外でもオーダーイベントがスタートしました。
ニューヨーク・シンガポール・オスロ・ストックホルムの四都市で実施させていただきました。今年はシカゴとロンドンが加わる予定です。すべては人との出会い。感謝しています。木型は仕事を通じて知り合ったノルウェー人の足をベースに作り上げました。日本人にも欧米人のようなストレートな膝下をもつ方がいらっしゃいます。結果的に国内のトランクショーの精度も高まりました。

─これまでの活動を振り返ると、アトリエとしての充実を図る一方で業界の底上げにも腐心されている印象を受けます。後進を育成するスクール、ビスポークの魅力を消費者に伝えるエキシビション、そして若手のクリエイターと組んだシューバッグやシューホーンなど周辺アイテムの展開...まさに全方位で精力的に取り組まれています。
すべてはお客様に満足していただくための試みであり、それ以上でもそれ以下でもない。業界をなんとかしたいなんて大仰なことは考えていません。自らの手の内で、一歩一歩、歩んでいるだけです。

靴作りはもはや生き方。もうちょっと上手に商売をしたらどうだといわれることもありますが、生き方だからそういう道は選べないんです。自分自身を否定してしまうことになってしまいますから。

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PROFILE

「ヒロ ヤナギマチ ワークショップ」代表

柳町弘之

日本におけるビスポークシュ-メーカーのパイオニアの一人。大手電機メーカーでデザイン開発を手がけた後渡英、ロンドンにて靴作りを学ぶ。帰国後、1999年ワールド フットウェア ギャラリー神宮前本店内に「ワークス オン ザ ニー」を設立し、自身のブランド<ヒロ ヤナギマチ>を発表、フルハンドメイドによる靴の受注を開始する。2008年にはアトリエを現在の東京、千駄ヶ谷に移しビスポークシューメーカー「ヒロ ヤナギマチ ワークショップ」を設立。その後は、パターンオーダーを含めた幅広い靴作りを展開し、2016年からは海外でのトランクショーも行う。これまでの経験と高い技術から生み出される美しくも足にフィットするその靴は、国内はもとより、海外からも高い評価を受けている。http://www.hiroyanagimachi.com/

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